完全移住の最終決断

腰越に一軒家を買った2014年は、夜窓を開けておけば涼しい風が吹くからエアコンは必要なかった。それが近年は24時間エアコンフル稼働になっている。しかも年々暑くなり、下がる要素はない。今年これだけ暑いのに、来年はどうなるのか。このまま上がり続けるのか。

2023年の8月27日の朝だった。そんなことを仕事部屋で考えているとき、「山へ移住したとして、困ることは何かあるか?」と自問してみた。あれこれシミュレーションしてみたが、何も見当たらなかった。そこで初めて気がついたのだ。

『犬のために山へ移住する: 200万円の小屋からはじまる、不便でも幸せな暮らし』(著:穴澤賢/草思社)

すると妻がやって来て「仕事場へ行ってくるね」というので「ちょっといい? 山へ完全移住しようと思うんだけど、どうかな」と尋ねてみた。妻は「ええっ! なんでまた急に?」とすごく驚いた顔をしていたが、「よく考えると、困ること何もないんだよね」と言うと「とりあえず行ってくる」と出かけていった。そして、昼頃になって妻から「たしかにいいかも」というメールが届いた。こんなふうにして移住がある朝突然決まったのだった。

そこから年内を目標に完全移住することにしたが、8月末に決めて、11月には引っ越しが完了した。各種手続き、荷物の整理、不要なものの処分、それはもう大変だった。普通の引っ越しではなく、2軒分の荷物を1ヵ所に集中させないといけなかったからだ。ずいぶん処分したが、移住から2年経つ今もなお、山の家の物置には大量の本やCDなどを詰め込んだ段ボール箱が眠っている。家の中には置く場所がないのだ。

2拠点生活から移住すると、このようなデメリットもある。