大福はいつ移住したことに気がつくか

2拠点生活をしている頃、山へ行く支度をしていると大福は敏感に察知して「もしかして、山?」という表情でこちらに探りを入れてきた。しばらく知らんぷりしてから「山、行くか」と声をかけるとふたりでヒャッホー! と大はしゃぎして車に飛び乗っていた。彼らも山へ行くのを楽しみにしていた。

腰越にいるとき毎朝砂浜を散歩していたが、そこは彼らにとって用を足す場所でしかなく、終わったらすぐ引き返す。家にいるときにも、だらーんと伸びてつまらなさそうに昼寝していたが、山へ行くとニコニコになり、ドッグランを駆け回る。その落差はすごかった。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

完全移住してから、彼らはいつそのことに気がつくんだろうと何気なく観察していた。移住してすぐの頃は、荷物のあふれる室内を「何が起きたんだろう」と見ていたが、テンションが高いのはいつも通りだった。以前から山にいるときはずっとご機嫌なのだった。

これまでも山での暮らしが1週間続くことはたまにあったが、今回はさらに長い。というか、もう腰越には帰らないのである。

2週間が過ぎ、1ヵ月経った頃、はしゃぎ方が大人しくなっていった。かといって、テンションが低くなったわけではなく、非日常を楽しんでいたのが、日常になっていった感じだった。

それでも、腰越で暮らしているときよりは楽しそうだ。朝起きてのんびり散歩に行き、戻るとドッグランで少し遊ぶ。朝ご飯が終わると、私の仕事部屋に移動して、昼寝する。夕方また散歩に行き、夕食の後、みんなでリビングでくつろぐ。たまに大吉が、前足でちょんちょんしてくる。それに応えて大吉を撫でていると、福助が「オレも!」と寄ってくる。彼らはひたすら無垢だ。

私はそんな大福を天使のようだと、常々思っている。