とはいえ、「死ぬときに管だらけは嫌だ」と思ったり言ったりしているだけでは、医療行為を止めることはできません。
「尊厳死を望む」との意思表示を本人が文書でしたため、署名・捺印があることが重要で、これが「リビング・ウイル」(人生の最終段階における事前指示書)です。
終末期の希望を書き記し、最後に署名・捺印すれば立派な「リビング・ウイル」になる。ただしその文書を引き出しの奥にしまっていたのでは、意思伝達できない状態に陥ったときに意思をまっとうすることができません。
そこで、役立つのが「リビング・ウイル」を広めようと50年近く活動し続けている日本尊厳死協会です。この団体の会員になると、終末期医療に関する疑問を専門家に相談することができ、作成した「リビング・ウイル」の原本を協会が保管してくれるので、もし医療機関から問い合わせが入れば本人の意思を提示してもらえます。
厚生労働省の調査によると、終末期の医療行為は、約3分の1が医師、3分の2が家族によって決められており、本人による決定はわずか3.2%。一方で、現在、「リビング・ウイル」を書いている人は日本の人口の0.3%程度ですが、その9割以上が希望を叶えているそうです。
ただし、「リビング・ウイル」は遺言書と違って法的担保がないのが懸念点。法制化しようと25年ほど前から多くの国会議員が動いていますが、いまだ叶わないのが現状です。
そんな状況下で終末期医療に関する希望を実現するには、自身の意思を文書にし、その内容を家族や医師、介護者らと共有しておくことが非常に重要になるのです。