よねは寅子と違う世界を見ることができた

ドラマでは描くことができなかった、寅子の目に映らなかった問題が、実は本編にもたくさんあったのだと思います。

そして視聴者側からすれば、寅子が知らないことは、視聴者も知らないまま。

たとえば戦後、生きるために体を売らざるをえなかった女性がいた。でも作品の構造上、彼女たちと寅子の生きる世界を交わらせるのは難しく、本編ではほとんど触れることができませんでした。

写真提供:『虎に翼』スピンオフ『山田轟法律事務所』/NHK

『虎に翼』は憲法14条「法の下の平等」をテーマとしたドラマです。

だからこそ、憲法14条にリンクしながらも、本編では取りこぼした部分を今一度描くことに、今回のスピンオフの意味があると思いましたし、自分に課した課題でもありました。

15歳で姉が身売りされ、田舎から逃げてきたよねは、寅子と違う世界を見ることができた存在。そのよねの目線を使うことで、何にスポットライトを当てるべきか? 

あらためて考えながら、今回のストーリーを紡いでいきました。

15分の中で話を組み立てていく本編に対し、72分1本という長尺にしたことで、本編では描けなかった部分まで、丁寧に描くことができたように感じています。