母の看取り

ちなみに、私の親への「いつもどおり」は、「親に対して怒鳴り散らす」です(苦笑)。

まだ存命で要介護の父に対しては、私はよく怒鳴っています。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

「親には優しく。穏やかに」などとえらそうなことはとても言えません。

でも、施設やかかわってくださる方々に迷惑をかけない範囲でなら、それでもいいんじゃないかなと思っています。

母の看取りに際しても、母に対して優しい気持ちにはなれませんでした。

母は乳がんで亡くなったのですが、娘の私が医師をしているにもかかわらず、しばらくすると標準治療(医療保険でこうすべきとされている最良の模範治療)を拒否し、民間のあやしげな健康食品や治療などに頼るようになります。

主治医からさじを投げられたのもあって、最後は私が母の主治医をしていました。

いつもどおりに患者さんに対応するように母にも対応して、看護師さんにケアをお願いしていました。

家族の立場としては、人生の最終段階にある母に対して、これまでとは違う優しい態度をとることもなく、優しい気持ちにも、まったくなれませんでした。

ただ、「早く亡くなればいい」とも思いませんでした。

それは、黒い気持ちがなかったからではなく、医師である私から見ても、驚くほど看取りの流れが早かったからです。

「あれよあれよ」という間に亡くなったので「早く亡くなればいい」と思う時間がなかっただけです。

長くなっていれば、そのような気持ちは出てきただろうと思っています。