最後まで残された《帰る場所》
前回、家族と元お手伝いのCさんだけでお祝いした時とは打って変わってしっかりした様子だった。お花を見れば綺麗と言い、プレゼントをいただけばお礼と感想を述べる。私は驚いた。祖母の認知症がひどくなる前の、仕事相手への対応を思い出した。
祖母は身内に対しては自由奔放というか唯我独尊というべきか、人のことはとやかく言うが自分は何をしても許されるのだと言わんばかりの態度だが、他人に対しては案外丁寧で、そんな祖母を見ると「他者に敬意を払う社会性がこの人にあったのか」とびっくりしたものだ。
この日の祖母は「社会性のある祖母」だった。祖母を丁寧に扱ってくれるスタッフさんと、佐藤愛子を知ってくれている友人方のおかげで、祖母はまだ作家としての自分を忘れないでいられている。
「家」を忘れた祖母にとって、「作家・佐藤愛子」は、祖母に最後まで残された《帰る場所》なのかもしれない。











