祖母はまだ家にいた頃、やたらと自分の持ち物の整理をしたがった…
102歳を迎えた作家の佐藤愛子さん。100万部突破の『九十歳。何がめでたい』(2016年、小学館 )をはじめ、ユーモアエッセイで長く人気を博しています。百寿者とは思えぬ仕事ぶりの一方で、家族からみた佐藤愛子さんの姿とは。孫の杉山桃子さんがコミックとエッセイで描く『婦人公論』の連載「うちのばあさん102歳」。第11回目は「102歳、特にめでたくない」。
102歳、特にめでたくない
祖母はまだ家にいた頃、やたらと自分の持ち物の整理をしたがった。時々、モノがたくさんある我が家が煩わしく感じられるようで、またあるいは暇つぶしに家の片付けを始めるが、毎日整理していればいずれ片付け切ってしまい、どんどんモノが不要に思えてくる。
そんなところに買取業者の営業電話がかかってくるから、まんまと乗っかって押し買い業者を呼ぶ羽目になるのである。
電話で営業している買取業者というのは、そのほとんどが不用品を買い取るような顔をして金やプラチナを二束三文で買い叩く悪徳業者だと私は勝手に思っている。
一度それで買取業者が居座って祖母・母・私vs.押し買い業者の怒鳴り合いになり面倒だったことがあったから、もう二度と呼んでほしくない。そのことを祖母に言っても、「面白いからまた来させよう」などと言う。
