家にいる時間こそが、一番神経をすり減らす時間に

昨日はやさしかったのに、今日は理由もなく怒鳴り散らしてくる。あるときは息苦しいほど干渉してきて、別の日には、まるで存在を忘れたかのように無関心──。

『かくれトラウマ - 生きづらさはどこで生まれたのか』((著:井上陽平/ワニブックス)

そんな、一貫性のない態度が日常になっていくと、

「今日は怒っているのか、機嫌がいいのか」

「どんな言葉なら怒らせずに済むのだろうか」

こんなことを考えながら、子どもは、親の声のトーン、足音、何気ないしぐさにまで、全身の感覚を研ぎ澄ませます。

親の顔色一つで、その日の家庭内の空気が決まる。そんな毎日を繰り返していくうちに、子どもにとって「家」は、心も体も休める場所ではなくなってしまいます。

帰るだけでほっとできるはずの家が、機能不全家庭では、家にいる間こそが「一番神経をすり減らす時間」になってしまうのです。

気を張り詰め、一瞬たりとも油断できないまま過ごすうちに、無意識に体は緊張しっぱなしになり、自律神経も疲れ果てていきます。そこにあるのは、「安心」とはほど遠い、「警戒」と「萎縮」が支配する空気。

子どもは、そこではじめて学びます。「傷つかないために、生きる」ということを。ただ身を守るためだけに、必死に日々をやり過ごしていく。それが、彼らにとっての「普通」になってしまうのです。