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「いつも緊張して気が休まらない」「人の反応を気にしすぎてしまう」。こうした日常の“生きづらさ”の背景には、実は子ども時代や過去の経験で受けた心の傷=「かくれトラウマ」が影を落としているかも、と指摘するのはトラウマケア専門「こころのえ相談室」代表で、公認心理師の井上陽平さん。でもそれは、かつてあなたが生きのびるために身につけた“生存戦略”の一つかもしれないそうで…。今回井上さんの著書『かくれトラウマ 生きづらさはどこで生まれたのか』から一部を抜粋し、我々の心に大きなトラウマを残す「機能不全家庭」のケースをご紹介します。

安心できない家庭…「機能不全家庭」とは?

家庭とは、本来、安心して心を休められる場所。疲れたときには戻ってこられる、あたたかな拠り所であるはずです。

けれど現実には、その家庭が、最も心を傷つける場所になってしまうこともあります。それが、いわゆる「機能不全家庭」と呼ばれるもの。

◼️家庭内の対立や争いが絶えない

◼️親が感情的に不安定で、怒鳴ったり、責めたり、無視したりする

◼️子どものニーズが無視され、愛情や世話が十分に注がれない(ネグレクト)

◼️身体的な暴力や、言葉による心理的虐待が繰り返される

◼️問題があっても、誰も口にせず、沈黙や否認が支配する「見て見ぬフリの文化」が根づいている

こうした環境の中で育つ子どもたちは、ただ「波風を立てないように」生きのびる術を身につけていきます。

親とは、本来、子どもにとって世界で一番安心できる存在であるべきです。

どんなに外で疲れても、どんなに傷つくことがあっても、「家に帰れば大丈夫」と思える場所。それが、子どもにとっての家庭の理想です。そして、親はその中心にいる、子どもの心の拠り所であるはずなのです。

けれど現実には、その「安心であるはずの親」がむしろ子どもにとって最大の不安の源になってしまうことがあります。