ただそれも、最初に出演した朝ドラ『花子とアン』(14年)の時は、まだまったく意識できていませんでした。それどころか、役の気持ちをリアルに表現することさえ、自分が意図したようにはできなくて。
仲間由紀恵さん演じる華族の蓮子と恋に落ちる役で、吉田鋼太郎さん演じる夫を捨てた彼女と駆け落ちするという大事な場面だったにもかかわらず、芝居ができなくて、たくさん恥をかきました。
あの時のことがトラウマになっていたんだなと気づいたのは、次に出演した朝ドラ『あんぱん』の時です。ものすごく念入りに準備して撮影に入ったのですが、なんでこんなに頑張っているんだろうと思ったら、どうやら自分のなかに、「今度は認められたい」という気持ちがあったみたいなんです。第一に観てくださる人に。そして、『花子とアン』の時と同じ監督に。
『あんぱん』では、撮影現場でもいろいろ考えて、監督やのぶ役の今田美桜さんと相談しながら役を作っていきました。次郎とのぶが出会って結婚するまでのシーンは多くありませんでしたが、そのなかで二人が心を通わせたことをどう見せるかとか。
気持ちと動きの両方の表現の仕方を、どこか演出の目も持ちながら考えていくことで、限られた台詞や身体の使い方のなかでもやれることはあると、改めて感じました。
その成果が出たかどうかは……課題も残ったと思いますけど、個人的にはいい芝居になったと思います。(笑)