100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第125回は「退団を決めたタカラジェンヌが輝き始める訳」です。
タカラジェンヌが聞く鐘の音
タカラジェンヌが退団を決意するとき、「鐘が鳴る」といいます。
退団のときが来たことを教える鐘が鳴るのだと、上級生からよくそんな話を聞いていました。
いつか私にもそんなときが来るのだろうか。
カーンなのか、ゴーンなのか。
それとも、もっと洒落た音なのか。
当時の私は、どこか半信半疑でいました。
けれど、その時は本当にやってきました。
それはカーンでもゴーンでもなく、もっと静かな、自分にしかわからない感覚でした。
「あぁ、そろそろなんだな」
そんな気配が、自分の内側でじわじわと準備されていくのです。
誰に言われたわけでもないのに、宝塚を去るタイミングが、絶妙な頃合いで自分の中に満ちてきました。
不思議なことに、一度その鐘が鳴ると、決意はまったく揺らぎませんでした。
