この世で最もおいしい食べ物

意識が戻った私に、彼はまず重湯を飲ませてくれました。それから3日ほどお粥が続いた後、やわらかめのご飯のおかずとして、濡れ縁に七輪を出し、ソーセージの輪切りを乗せた目玉焼きを作ってくれたのです。その目玉焼きのおいしかったことといったら!

今までこんなおいしい食べ物はお目にかかったことがないと、ついご飯をお代わりしてしまったほどでした。 

飢えていた後ということもあるのでしょう。でもそれだけではなく、弱っている人をとにかく助けようとした彼の純粋な心が、その目玉焼きをこの世で最もおいしい食べ物にしてくれたのだと思います。後になり、彼がソーセージを買うために質店に行ったことを知りました。

私は美食を悪いこととは思っていません。でも、ふとしたときにあの目玉焼きを思い出し、人にとってなによりのご馳走は、やさしさであり、見返りを求めない愛なのだと改めて感じ入ります。

この世で一日一日を大切に生きることも、きっと修行になります。

 

●今月の書「舌つづみ」

舌つづみ
(書:美輪明宏)
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