夢を現実にする「応援団」
僕自身、中学2年生のときに「花巻東高校で日本一になってプロ野球選手になる」という大きな夢を、両親とコーチにだけ打ち明けました。信頼する人たちに宣言したからには、もう練習で手を抜くことはできません。「今まで以上に頑張らなければ」という気持ちが内側から湧き上がってきました。
応援してくれる人に伝えた夢は、冷ややかな視線ではなく、温かい眼差しに包まれます。彼らは「力になりたい」と人を紹介してくれたり、有益な情報を持ってきてくれたりと、夢を現実にするための強力な「応援団」となってくれるのです。
だからこそ、埼玉西武ライオンズの後輩である高橋光成(「高」は正しくは「はしごだか」)投手がメジャーを目指したいと話してくれたとき、僕は「メディアに言うのは、まだまだ先でいいよ」と伝えました。僕自身が、準備が不十分なまま世間に夢を伝えてしまい、そのメリットを一つも感じられなかった苦い経験があったからです。
夢を伝えるときは、大切に、そして慎重に、語る相手を選ぶべきだと思います。
※本稿は、『こうやって、僕は戦い続けてきた。 「理想の自分」に近づくための77の習慣』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
本書は、MLBで活躍を続ける菊池雄星選手が、世界最高峰の舞台で戦うために、どのように考え、実践してきたのかを明かす全記録です。
「自己投資を惜しまない」「『最高』よりも『最適』を目指す」など、苦闘を支える日々の習慣を、豊富なエピソードと共に紹介。さらに、これまでに影響を受けた人物や言葉、書籍なども率直に綴られています。
13万字のすべてを、著者自らの手で書いた渾身の1冊!
出典=『こうやって、僕は戦い続けてきた。 「理想の自分」に近づくための77の習慣』(著:菊池雄星/PHP研究所)
菊池雄星
メジャーリーガー
1991年、岩手県盛岡市生まれ。小学3年生で野球を始める。盛岡市立見前中学校在学中は盛岡東シニアに所属し、左腕投手として頭角を現す。
花巻東高等学校に進学後、春夏通算3度の甲子園出場。2009年にはエースとして岩手県勢初となる春の選抜甲子園(選抜高等学校野球大会)準優勝を牽引し、同年夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)ではベスト4進出を果たす。大会では甲子園左腕史上最速となる155キロを記録。2009年のドラフト会議で6球団から1巡目指名を受け、埼玉西武ライオンズに入団。
プロ入り後は先発投手として活躍し、2016〜2018年に開幕投手を務める。2017年には最優秀防御率、最多勝。ベストナインに選出。2018年にもベストナインに選出され、同年オフにMLB挑戦を表明。
2019年、シアトル・マリナーズに移籍しメジャーリーグへ。2021年にMLBオールスター初選出。2022年にトロント・ブルージェイズへ移籍。2024年にはシーズン途中からヒューストン・アストロズに移籍し、自己最多となる206奪三振を記録。日本人左腕として史上最多奪三振数を更新した。同年、岩手県花巻市に、子どもたちの教育・育成を目的とした日本最大級の全天候型複合野球施設「King of the Hill」(K.O.H)を私費で建設。シーズンオフには、ロサンゼルス・エンゼルスと契約。2025年、安定した成績が評価され、2度目のMLBオールスターに選出。
日米通算121勝(NPB73勝/MLB48勝)、投球回数1998回と2/3(共に2025年12月時点)。MLBにおける日本人左腕最多勝利数を更新中。日本人投手としては野茂英雄、ダルビッシュ有、前田健太に次ぐ史上4人目の通算1000奪三振を達成。
年間200冊以上本を読む読書家としても知られ、その功績を称え、地元・盛岡市の都南図書館前にはMLB制作による「本の虫」を模したマンホールカバーが設置されている。
著書に、『メジャーをかなえた 雄星ノート』(文藝春秋)がある。