“食”の思い出

やっぱり食の話をすると、自然と“家族”の記憶が出てくるんですよ。

(写真:本社・奥西義和)

自分の場合、7歳のときに親が初めて離婚をしていて。その後、再婚した母親は再び離婚をするわけですが……。

そもそも7歳以前ってそんなに記憶がないんです。ただし、食卓の光景だけはなぜかはっきりと頭に残っている。

こたつのテーブルを囲んで、テレビの正面が父親。その右手に自分、左に母親っていう配置。父親はいつも瓶ビールを手にしながら、つまみを食べる、といった光景ですね。

特に覚えているのは、父親がなぜか“鴨”を持って帰ってきた日のこと。

「鴨持ってきたぞ!」と言いながら、本当に丸々一匹の鴨を手に持って帰ってきた。どこでどう手に入れたかさっぱりわからないんですが、それで「料理しろ!」と羽根がついたまま母親に渡して。

母親は「なんで鴨なんて持って帰ってきた!」と怒っていましたが、なんとかさばいて鍋に。当時の自分は鶏との違いもわかっておらず、「普通の飯」の感覚だったんですけど、押し付けられた母親は大変だったでしょうね。

父親だけ、なんだかすごくうれしそうだったのをよく覚えています。