裏切られてショックを受けたと言ったら

日常生活は子どもたちを中心に回っていく。真ん中の子がようやく今年から小学生。体の弱い末っ子が小学校に上がったら、友佳さんは仕事を再開するつもりでいるが、それまでは外で働くのもむずかしい。

「一度だけ夫と話したことがあるんです。裏切られてとてもショックを受けたと言ったら、『過ぎたことを言われても。オレにどうしろって言うんだ』と逆ギレされました。わざわざ冷静に言葉を選んだのに、『理路整然と言うなよ』とまたまた逆ギレ。夫はきっと、泣いてすがる女が好きなんだろうなと思いました」

浮気を追及される時、男は責められたほうがマシだと言う。理屈で追いつめられると、開き直るしかないのかもしれない。そもそも悪いのは自分だと自覚しているのだから。

「夫の言葉を聞いて、この人とともに歩いていくのは無理だと悟りました。子どもたちが無事に大学を卒業できればそれでよしとしようと。何も知らない子どもたちは彼に懐いていますし、私もごく普通に振る舞ってはいます。夫と2人きりで過ごすことはありませんけど」

夜の生活はいっさいない。夫が何度か迫ってきたことはあるが、「疲れているの、ごめんなさい」と言ったら誘ってこなくなった。風俗に行っているかもしれないと思ったこともあるが、それでもいいと腹をくくり、夫が寝てから寝室に入るのが日課だ。

「でも」、と友佳さんは囁くように言い、しばらく考え込む。

「これでいいと思っているわけではないんです。時々、夫の胸ぐらをつかんで、『どう思ってるのよ!』と揺さぶりたくなる。でも私は両親がいつも争っている家庭で育ったので、子どもの前で諍いはしたくなくて」

そのぶんストレスはたまる。だが、いつか夫に復讐してやると思うことで、日々を乗り切っているらしい。

「夫が定年になったら離婚届を突きつけてやろうとか、いつか病気になったら見捨ててやろうとか……。そんなことを考えながら、とにかくへそくりをためて、来たるべき日に備えておこうと思っています」

自分の気持ちをさらけ出せない宙ぶらりんな日々は、精神的につらいだろう。だがそれも子どもたちのため、と友佳さんは微笑を浮かべた。

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外での恋愛から戻ってきた夫をどう迎えるか、妻としての「正解」はない。夫婦のルールを逸脱したのはあくまでも夫。私見だが、夫に浮気される妻はなぜか「きちんとした良い人」が多い。だから夫は甘えるのか、あるいは隙のない妻から逃げたくなるのか。いずれにしても、今後どうするか、その選択権は妻にある。


ルポ・妻は「浮気夫」を本当に許せるのか?
1】テレビも窓ガラスも粉々に…浮気を隠していた夫に爆発した瞬間
【2】「もう頑張れないよ…」不倫発覚後、もう一度やり直そうとしたけれど
【3】3人目を妊娠中、不倫が発覚。いつか復讐してやると思いながら…