浮気した夫をどう迎え、どう向き合うのか。妻としての「正解」はない。裏切りが判明した後の、3人の妻たちの選択は? 2人目の坂本さん(仮名)は、元の夫婦関係に戻るために努力したが…(取材・文=亀山早苗)
出来心で不倫するような人だったんだ
浮気がバレた時、夫は真摯に謝った。妻も謝罪を受け入れ、もう一度2人でやり直そうと決めた。「それでも無理だったんです。『もう頑張れないよ』と、夫に泣きながら訴えたのが1年後でした」坂本恭子さん(48歳・仮名)は、穏やかにそう言った。
離婚してから2年が経ち、今は大学生の娘と高校生の息子の3人暮らし。子どもたちは近くに住む父の元をたびたび訪れているし、時には4人で外食することもある。
「今はいい関係を築けていますが、夫が家庭に戻ってきた時は本当につらかった」
2人は学生時代からの友だちだった。26歳の時、恭子さんが大失恋。慰めてくれた彼に口説かれ、結婚へとなだれこんだ。
「彼とは本当にいい友だちだったから、男女の仲になって関係が変わるのが怖かった。だから結婚当初からよく話し合いました。2人で働き、子育てもして。全面的に夫を信頼していたんです」
ところが44歳の時、相手の女性からの挑発的な電話で、夫が不倫していることを知った。すぐに問いつめると、夫は涙を流して謝罪。ほんの出来心だったと言い訳した。
「出来心で不倫するような人だったんだと信頼が崩壊しました。私たちが頑張って築いてきた関係を、こんなふうに裏切る人だったということにショックを受けて。夫は誘惑されて軽い気持ちで浮気したら、相手の女性の押しの強さにびっくりしたということらしいです。『バレて別れることができてよかった』とも言っていました。そういう言い方も私としては納得できませんでしたね。だからといって、相手に惚れていたんだと言われても苦しいけれど」