スムーズに片づけを進めるコツは“親ファースト”

子どもとしては、将来的に実家を片づけるのは自分だとわかっているので、溢れた物を早く手放したいのが本音。親に対して、つい「どうして捨てられないの」とキツい物言いになってケンカになり、作業が滞るケースはよくあります。どうすれば、親は片づけに協力的になってくれるのでしょうか。

最初にお伝えしておきたいのは、実家はあくまで親の家で、子どもの家ではないということ。“親ファースト”で考えることが、スムーズに片づけを進めるコツです。一見ゴチャゴチャした部屋でも、親にとっては身の回りに必要な物を集めた快適空間かもしれません。そのため、子どもの目からはケガをしやすい部屋だと感じても、本人は「片づけなくても大丈夫」と思っている可能性が高いのです。

時々、「親の入院中や施設に短期入所している間に片づけたい」という依頼があります。しかし、リハビリ用にスペースが必要な場合を除き、親の留守中に勝手に片づけることはおすすめしません。高齢者にとって、見慣れた環境が急に変わるのは大きなストレス。さらに子どもに不信感を抱き、「二度と私の物に手をつけないで!」と怒ってしまうことも多いからです。

高齢者は寂しさや不安を感じると、物で「身固め」をする傾向があります。ですから、親の家の片づけで何より大切なのはコミュニケーション。「これ不要だよね」と子ども側の価値観を押しつけたり、「どうしてここまで放っておいたの」と過去を責めたりする言い方はNGです。親の気持ちに寄り添う言葉、ポジティブな未来を感じさせる言葉を意識的に使うことで、親も「片づけてみようかな」と前向きになってくれるでしょう。

 


つまずきがちな第一関門
親が協力的になる言葉がけ

責めない、押しつけない、叱らない。ポジティブワードが重要です

【ケース1】「我慢が美徳」の世代は、自分のために動かない

親世代、とくに女性は「家族のため」に生きてきた人が多い。「お母さんのためだから」と子どもが促しても、「私は大丈夫」と遠慮しがち。あえて子どものため、孫のために片づけてほしいことをストレートに伝えると効果的

 

【ケース2】「捨てる」はNG!言葉選びは慎重に

一見ガラクタに見えても、親にとっては大切な物の場合も。まずは、「なくしては困る大切な物」を1ヵ所に集めることを提案してみましょう。その便利さに気づき、片づけにも前向きになります

 

【ケース3】もらってくれるなら親は嬉しい

親が片づけに消極的なのは、手放す物を判断するのが面倒くさいからかも。「まだ使う」と言われたら有効なのが、“ちょうだい作戦”。自分の持ち物を子どもに必要とされたら嬉しいもの。親のプライドも傷つきません