意識するのは、高齢者や親の気持ち

収納は、「ひと目で見てわかりやすい」「出し入れしやすい(アクションが少ない)」ことがポイント。高齢者にとって使いやすいのは、目線から腰までの高さです。洋服であれば、立ったまま片手で引き出せる軽い収納ケースの一番使いやすい段に普段着る物をまとめて、他の段にオフシーズンの物をしまう。衣替えの時は引き出しを入れ替えるだけなので、ラクちんです。

小物の収納には、浅めの半透明のボックスが便利。ラベルを貼ってテーブルや低いタンスの上に置いておけば、中身が確認しやすく、片づけも簡単にできるでしょう。

また、ラベルを貼る際には工夫が必要です。白い容器に白のラベルを貼ると、光が反射して高齢者には読みにくい。そんな時は、黒のラベルに白い文字で書くのがおすすめ。主に薄暗いキッチンなどで有効です。文字は大きく、言葉は本人に決めてもらいましょう。

ちなみに男親の物を片づける場合は、プライドを傷つけないのが重要ポイント。そのためには、ささやかな嘘も方便です。私は夫の実家を片づけた時、義父のレコードコレクションを売った金額に内緒で少し足して、家族で回転寿司に行ったのです。「じぃじのおかげだね」と話したら、義父もご機嫌に。その後の片づけも、頑張って協力してくれました。

子どもが老親の家の整理収納をする際、期間は短くても半年、長い場合は数年単位ということもあります。親が長年の間にコツコツと溜めた物を片づけるには、子どももコツコツ時間と手間をかける必要があるのです。根気がいりますが、そうして何度も通い、親と会話を重ねながら整理を進めることで確実に家は片づいていきます。

きれいになった家に家族が集まれるようになれば、老後を自宅で穏やかに過ごしてもらうことも可能になるでしょう。そして何より、片づけを通じてあなたとコミュニケーションをとることが、親にとっては何よりの幸せ。寂しさから抜け出すことで、「身固め」していた物を気持ちよく手放す気持ちになってくれると思います。

 

モノ別! 親に寄り添う仕分け&収納

安全な空間への近道は、本当に必要な物だけを身の回りに集めることから

【生活必需品】
使用頻度の高い物は仲間ごとに「グルーピング」

【文房具】⇒メモ用紙、筆記具、はさみ、電卓、のり、セロハンテープほか
【化粧品】⇒化粧水、乳液、ハンドクリーム、ヘアブラシほか

「100円ショップで購入できる半透明のチャック付きビニールケースは、書類のグルーピングに便利。父は黄色、母は赤など色ごとに通帳や印鑑を整理できるほか、診察券やお薬手帳などを入れた通院セットを作って玄関に置けば、忘れ物の防止にも」

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毎日使う物は種類別に手頃なサイズの箱に入れ、使う場所の近くに配置。側面には中身がわかるようにラベルを貼るのがおすすめ。「落ちてたから入れておくね」と言えば、散らかった部屋を片づけやすい。

オープンラックに並べると、何がどこに入っているか一目瞭然。上部にゆとりを作ればワンアクションで取り出し可能に

●おすすめのグルーピング例
・お薬セット・おやつセット・入院セット など
永井式親の心をつかむコツ

「古いお菓子の缶はまだ現役」

高齢者が貴重品や裁縫道具をしまう定番の入れ物といえば、お菓子の缶。缶ごとに過去の記憶が結びついていることもあり、勝手に便利な収納ケースに入れ替えると混乱してしまう。缶にラベルを貼っておけば、立派な収納に