実家が片づいていないと、5つのリスクが!(イラスト:ソリマチアキラ)
実家の片づけをめぐって絶えない親子ゲンカ。いつになったら協力してくれるの?──実は、高齢の親が過ごしやすいと思う家は、あなたの“理想像”と少し違うかもしれません(構成=山田真理 イラスト=ソリマチアキラ)

急な環境の変化は親にとってストレスに

「実家の片づけ」というと、親が亡くなった後に発生する作業だと想像する人も多いかもしれません。そのためか、子どもが「片づけよう」と提案しても、親は「まだ元気なのに、縁起でもない」と抵抗することがしばしば。

しかし私は介護福祉士として高齢者とかかわるなかで、できるだけ長く健康で安全な生活を送るには、住まいの環境を整えることがとくに重要だと感じていました。

これまで、ベッドから食卓、トイレに通じるわずかな「けもの道」があるだけで、周りの空間は物で溢れている家に何度も遭遇しました。そうした住まいには、室内での転倒事故や救急時の時間ロスをはじめ、多くのリスクが潜んでいるのです。そこで10年ほど前から「片づけヘルパー」として、高齢者が少しでも長く大好きな自宅で暮らせるように、環境作りのお手伝いをしています。

 

実はトラップだらけ
実家が片づいていないと、5つのリスクが!

【5つのリスク】(クリックして拡大)

親が片づける気分になっていなくても、物が多かったり散らかったりしている場合は要注意。病気やケガのもととなり、最悪の場合、寝たきりになってしまうおそれも

トラップ1 不衛生

掃除が行き届かなければ、あらゆる隙間にホコリが溜まり、家具の裏にカビが生え、しばらく干していない布団にダニが繁殖してしまう。健康面に深刻な影響が
トラップ2 救急時の時間ロス

玄関や廊下にたくさん物が置いてあると、病気やケガで倒れた時、担架を持った救急隊員が辿りつけない。外に運び出すのはさらに大変
トラップ3 災害に弱い

震災や水害時、タンスや山積みの本、しまいきれない洋服などが溢れた寝室は命の危険が。避難路も確保できないうえ、通帳・印鑑など大切な物をすぐに探せない
トラップ4 コミュニケーション不足

リビングのテーブルは散らかり、床にも本やチラシが散乱して座る場所がない。そんな状態では、家族でも足が遠のいてしまう。人と接する機会が減れば認知症のリスクも高まる
トラップ5 転倒

マットで足を滑らせたり、カーペットと床のわずかな段差につまずいたりして転びやすい。骨折すると寝たきりになることもある