人を家に招き入れることで人とのつながりを持つことは、夫の考えそのものでした。

それは「老後でいちばん大切なことは、その人の人生の中でもっとも確かに身につけたものを生かして社会とのつながりを持ち続けること。誰かの役に立っていると思えることが、その人の生きがいになる」ということでした。

人を家に招き入れること、人に教えるのはまず自分の勉強になります。人とのつながりはまさに社会とのつながりです。自分から外に出て行かなくても世の中とつながっていられるのです。

外から来る人を拒否する気持ちは誰にでもありますし、家の中を覗かれたくないと思う方もいらっしゃるでしょうが、私はそういう気持ちを持つことが少なかったので、人とのお付き合いが今でも続いているように思います。

 

(写真:stock.adobe.com)

 

ただ価値観の違う人、嫌な人とは付き合いません。その判断は私なりのセンサーが働いて、これが垣根になっています。とはいえ、私の垣根は広く、低いのが特徴。ですからどなたとでも気楽にお付き合いしやすいのです。

 

夫はよく「収入の1割で暮らせ」と言い、実際に我が家ではそうやって9割を人との交際とそれにつながる経費に使ってきました。

夫の言った本当の意味は収入の9割が交際費だというのではなく、9割は自分たちが使うお金ではない、人のものだと思って暮らせ、ということだったと思うのです。人との付き合いのひとつのあり方を夫に教えられたと思っています。

 

毎月十数人のメンバーが交代でひとつのテーマを発表する「むれの会」も、もともと夫が始めたもの。我が家でかれこれ40年以上も続いています。

メンバーの皆さんは研究者ではありませんが、知的好奇心にあふれた方ばかりで、テーマは『万葉集』の詩歌あり、女性史あり、人物伝ありとさまざまです。夫が始めた勉強会のおかげで、私自身も日々新たな知識と関心を得られます。

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