魅力的な「謎の青年」

<演じる島田健次郎は、りんが東京で働く瑞穂屋の常連客。「シマケン」と呼ばれ、読書が好きで、語学に造詣が深い青年だ。りんのよき相談相手になっていくが、その正体は謎に包まれている>

『風、薫る』の公式Xの投稿では衣装を着た状態の写真に説明がついていて、「謎の青年」と紹介されていました。「謎の青年」という入り方がすごく魅力的。シマケンの初登場シーンの第11回は、すごく朝ドラっぽい場面です。瑞穂屋で店番をしているりんが、客の言葉がわからず困っているところに、シマケンがフランス語をしゃべりながら登場する。その後も、シマケンが何を目指しているどんな人物なのかわからないまま作品に絡んでいく。正体が謎のまま進む登場人物というのは、朝ドラっぽいと思いました。

シマケンは最初、根暗なキャラクターだと思って演じていました。とっつきにくいようで、とっつきやすいところは、僕と似ているかもしれない。思ったことをずばっと言うけれど、なかなか相手に一歩踏み込めない一面もある。不器用なところがすごく素敵です。明治時代、シマケンはすでに外国に目を向けていて好奇心があって言語に明るい。

役作りのため、フランス語のレッスンを受けました。2回くらいレッスンの時間を取ってもらってからの撮影だったのでやりやすかったです。僕が初めてシマケンを演じたのがフランス語を話す場面。セリフのフランス語が完全に覚えられていたので、緊張しませんでした。シマケンはフランス語を話している時間が楽しいんです。自分の言語能力や知識をひけらかす時間はシマケンがかっこつけている瞬間。今の言葉で言うと、「いきりながら」やっていると思うので、僕自身も「これだけ喋れるんだぞ」と思いながら演じました。りんは看護の勉強の過程で英語に悩むこともあるので、シマケンはりんの救いになる存在だと思っています。

りんの母親の美津や妹の安も、りんを追って上京してきます。シマケンは、一ノ瀬家の家族と仲が良いんです。一ノ瀬家が揃っているところにシマケンが混ざっているときにはテンポ感が良くお芝居が進むのですが、りんと2人きりになると、ちょっと居心地が悪いような、気持ち悪い間で進んでいくような感覚があって。お芝居として、あえてそう演じているわけではないのに、無意識だけれどお互い意識しているような微妙な男女の空気感になっているんです。

りんはシマケンにいろいろな相談をしますが、シマケンは真剣に相談に乗ってあげる気がない。だからこそ言えるシマケンの言葉があるし、そこがシマケンの魅力だと思いました。

りんが一番「普通」に接することができるのがシマケン。これから、りんとの関係がどう発展していくか楽しみです。