「日本一の精米歩合に挑戦しよう」という思いつき
――「獺祭」はすべて大吟醸酒、フラッグシップは「二割三分」ですね。
はい。「獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分」は、精米歩合23%、つまり外側を77%削った山田錦で造った日本酒です。この酒は、「日本一の精米歩合に挑戦しよう」という私の思いつきから生まれました。当時の最高が28%といわれていたので、25%を目指したのです。
ところが、出張した東京で、24%精米している酒蔵があると聞いたもので、慌てて「もう2%磨いて23%にしよう」と新幹線の公衆電話で山口の工場に指示を出しました。精米担当の工場長は電話口で呆れていましたが…。6昼夜かけてようやく25%にしたものを、さらに24時間かけて2%磨いてくれたというわけです。
こうして“瓢箪から駒”のように誕生した「二割三分」ですが、飲んでみるとスッキリした口当たりの、とても綺麗な味。軽やかでありながらも、奥深い美味しさがありました。「ああ、やっぱり磨きには意味があるんだな」と思いまして、私どもはそちらへ踏み込んでいったんですね。
ただ、「二割三分」は精米歩合として日本最高峰ですが、磨けば磨くほど美味しい酒だとは思っていません。酒米、精米歩合、水……、様々な要素によって日本酒には豊かな個性があります。ぜひ、飲み比べていただければと思います。