純米吟醸酒「獺祭」を造り上げた“懲りない親父”こと、桜井博志会長(撮影:本社 武田裕介)
西日本豪雨、コロナ禍、ニューヨーク蔵の建設費膨張……相次ぐ試練を乗り越えながら、さらなる挑戦を続ける酒造メーカー「獺祭」。その原動力に漫画家・弘兼憲史氏が迫った『漫画 懲りない親父、世界へ挑む 獺祭 進化する伝統』が発売されました。“山口の山奥の小さな酒蔵”を受け継ぎ、純米吟醸酒「獺祭」を造り上げた“懲りない親父”こと、桜井博志会長にお話を伺いました。(構成:高梨聖昭 撮影:本社 武田裕介)

私の経営は本当に失敗ばかり…

――“懲りない親父”というタイトル、インパクトが強いですね。

弘兼先生が付けたタイトル、とても気に入っています(笑)。「獺祭の世界戦略」なんて付けても、誰も読みたいと思わないでしょうからね。

これまでに私が出した本のタイトル『逆境経営』『経営は八転び八起き』とくればおわかりでしょうが、私の経営は本当に失敗ばかり。それでも、転んでもすぐに立ち上がるので、そんな姿を見た弘兼先生が「さっき泣いたカラスが、もう笑った」という一文を添えたイラストを数年前に描いてくださいました。“懲りない親父”というのは、そこからの発想なんでしょうね。

『懲りない親父、世界へ挑む-獺祭 進化する伝統』(弘兼 憲史 (著), ヒロカネプロダクション (著)/中央公論新社)

――桜井会長が生み出した「純米大吟醸 獺祭」について教えてください。

米と米麹と水だけで造られた日本酒が「純米酒」ですが、「獺祭」は“酒米の王様”と呼ばれる「山田錦」という米しか使いません。

日本酒を造る場合、米の外側に多く含まれるタンパク質や脂質を取り除くために精米する、つまり磨いていきます。タンパク質は重要な栄養素ですが、酒造りの際は雑味のもとになるアミノ酸を生み出して、“綺麗な味”の邪魔をするのです。

もちろん、精米が過ぎれば一番大切な米の中心にある「心白」まで失われてしまうので、磨き加減が重要になります。その割合が「精米歩合」と呼ばれる数値で、もとの米を50%以上磨いた酒が「大吟醸酒」です。一般的には「50%磨けば十分」とされ、「それ以上磨いても意味がない」という人もいます。

50%以上磨いた酒が「大吟醸酒」「それ以上磨いても意味がない」という人もいます(撮影:本社 武田裕介)