全部捨ててしまうつもりだった
今回、3番目の家を建てるにあたって、いったん家を空にする必要があり、妹と一緒に荷物を確認しました。そうしたら、出てくるわ、出てくるわ。父が集めた書画や旅先で買ってきた骨董品、美術品の量も半端ではありません。なにより桁違いなのが、食器の量です。父は50人くらい招いて家で宴会を開き、料理をふるまうのが趣味。食器も5客セットとかではなく、同じものが20~30枚ありましたし、大皿や大鉢など巨大な食器が山のようにあるのです。
屋根裏収納には私は怖くて上がれず、妹が見てくれることに。そうしたら、「えっ、こんなものが?」というものがたくさん出てきました。たとえば古い足踏み式のミシン。そんなもの、どうやって屋根裏に持って上がったのか(笑)。見たことのない母の着物もありました。たぶん、20代の頃のものではないでしょうか。母は布類を捨てられない人だったので、とにかく山のようにあるのです。
私はもともと、ものには執着も愛着も薄いほうです。友人たちが「あのバッグほしい」「あのアクセサリーが素敵」などと言うのを尻目に、「特にほしいものなんてないわ」と思って生きてきました。ですから当初は、「全部捨ててしまおう」と言っていたのです。
今回の家の大きさは2番目の家の半分ほどで、収納場所も限られています。目をつぶって「えい、やァ」と処分しないことには、整理がつかないと思ったのです。すべてを丸投げされた妹は、かなりのストレスだったようです。
食器はどなたかの役に立てばと思い、全部引き取ってくださる方を探しました。価値のあるものも混じっているはずですが、なかなか引き取り手は見つからず……。
母の着物は、最近のものは、生徒さんをお持ちの着付けの先生に引き取っていただくことに。着物用段ボール3箱分ですが、先生のお宅の収納を整理してからというので、まだ引き渡せずにいます。昔の着物や布類のうち、きれいなものは、着物地で小物や服などを作っている方に、段ボール2箱分、引き取っていただきました。