戦前生まれで卒寿を目前にした「生けるレジェンド」毒蝮三太夫と、還暦を目前にした「時代遅れな昭和の粋芸人」玉袋筋太郎が、令和の社会の生きづらさ、お笑い、幸福論、老いなど、軽妙な掛け合いで語り合う。毒蝮の「毒」と、玉袋の「粋」が融合した対談本『愛し、愛され。』より、一部を抜粋して紹介します。
コンプライアンス至上主義のいまを蝮はどう見る?
玉袋 そういえば、蝮師匠には現代のコンプライアンスについても伺いたいと思っていたんです。
それこそ、メインテーマである「毒」に関わってくる大事なテーマですからね。どうです、最近のコンプライアンス至上主義については?
毒蝮 なんだよ、その「天ぷらアイス」ってのは?
玉袋 コンプライアンスですって(笑)。
毒蝮 なんだか聞くところによると、インターネットの世界でもよくそんなことがいわれているそうだよな。俺は古い人間だからインターネットはまったくやらないけど、ラジオでもテレビでも、「コンプライアンス、コンプライアンス」って、バカのひとつ覚えのようにみんなで叫んでいるよな。
玉袋 こんな世の中だと、よく蝮師匠のことを知らない人の場合、「毒蝮三太夫はひどいことばっかりいっているとんでもない奴だ!」なんて批判されることもないですか?
毒蝮 被害者意識の強い人間ほど、そう考えるものなんだろうな。例えば、いつもの流れで「うるさいよこのブス!」なんていったとする。自分のことを「美人だ」と思っている人はなんとも思わないし、笑って受け流せるよな? でも、自分に自信のない人間は、「なんてひどいことをいうの! このじいさんは!」って怒るだろうな。