むしろ、新しいことをはじめない

毒蝮 そこが、もうすぐ90歳になる俺と、もうすぐ還暦を迎える玉との違いなのかもしれないな。俺はもう、いまさら「令和的価値観にアップデートしなければ」という強迫観念はないよ。

ただ、いまの時代の人たちの迷惑にならないように、足手まといにならないように、自分のペースでこれからの時代を歩んでいけばいいと思っている。だけど、まだまだ50代の玉の世代は、俺よりももっと切実にアップデートが求められているからな。

玉袋 何度も例に出して恐縮ですけど、『美しく枯れる。』にも、そんな思いを書いたんです。街の本屋をのぞいてみると、「50代の生き方」に関する本がたくさん並んでいるじゃないですか。ちょっと気になってパラパラめくってみると、たいてい「老後に備えて新しい趣味を見つけよう」なんてことが書いてあるんです。

毒蝮 第一線からリタイアしたら、現役時代よりは確実に時間ができるからな。

玉袋 趣味というのは、いわば人生の潤滑油のようなものだから、新しい趣味を見つけることは大切なことだと理解していますよ。でも、「絶対、新しい趣味を見つけなくちゃ」って、血眼になって探すようなものでもないじゃないですか。

それまでまったく興味もなかったのに、「そろそろ趣味をつくらねば」って、無理やり盆栽や陶芸や蕎麦打ちをはじめても、そうそう夢中になれるとは思えないんです。そもそも、「これを老後の趣味にしよう」と思えるものなんて、そう簡単に見つかるものでもないですよね?