さて、家に帰りついた。なんだなんだとみんな集まってきて、嗅ぎ回り、のぞきこみ、仔猫を見てわらわらと驚き、まあ、それからのごちゃごちゃはいつもの通り。

仔猫は犬やら大猫やらを見たとたん、できるかぎりの怖い顔をして、しゃーァァァと言った。うなりを利かせた威嚇声で、うるるるる、るううううと言った。声だけ聞けば、ものすごく獰猛で攻撃的、でもいちばん怖がってるのは本猫(ほんにん)で、不安でもみくちゃになってる幼い子どもの声だ。

しゃーしゃー言ってないときは、か細い、高い声で、ここにいない誰か、世界のすべてだった母猫や、楽しくて温かかったきょうだいたちを呼び続けているのだった。

でもあたしにはあっという間になついた。代々人間と暮らし、かわいがられて育った仔猫は、野良猫や野犬や保護犬とは全然違う。人に対する無条件の信頼がすみずみまで刷り込まれているとしか思えない。どんなにしゃーしゃーにゃーにゃー言ってても、あたしが抱き取ると泣きやんだ。そして膝の上であたしの手を枕にして身体をすっかり預けて眠ってしまった。こんなのは初めてだった。

抱いたままあたしはベッドに入って寝た。夜中に起きたから、食べさせて、トイレさせて、また寝た。明け方、胸をまさぐられ、乳首を吸われた。ねぼけた仔猫は、あ、まちがえたというように口を離した。