三日目夜。ジェシーは、あたしの椅子を寝場所にさだめた。仕事机の仕事椅子。眠くなるとここに来る。老犬ニコもここが居場所だった。あたしのお尻と椅子の背と座面の狭い隙間に寝るのだった。ニコが死んで一年以上経つ。ひさしぶりの小さい命が、あたしのお尻の下にぽうっと灯る。とても温かい。ジェシーが寝てる間、エリックがそばのソファに無言ですわっている。待ってるんだと思う。
四日目。エリックとジェシーが遊んでいるところへチトーが来て、しっぽ振り振り、仔猫に接近。するとエリックがすっと間に入ってチトーに頭をこすりつけた。その隙にジェシーはあたしの後ろに逃げ込んだ。エリックが意図的に仔猫を守ったのだ。
五日目。椅子の上にメイがいた。足元にジェシー。するとメイ、仔猫にむかって、顔を出して引っ込めてまた出して、つまりいないいないばあをした。仔猫はぴょんぴょん踊り上がって、つかもうとした。
チトーが、遊んでいるエリックとジェシーにまた近づいた。エリックははらはらしていたが、仔猫はずんずんチトーに近寄り、チトーのおなかの下にもぐり込んだ。もぐり込まれたチトーはうれしくて、「こねことあそんだ」とあたしに言いに来た。
『対談集 ららら星のかなた』(著:谷川 俊太郎、 伊藤 比呂美)
「聞きたかったこと すべて聞いて
耳をすませ 目をみはりました」
ひとりで暮らす日々のなかで見つけた、食の楽しみやからだの大切さ。
家族や友人、親しかった人々について思うこと。
詩とことばと音楽の深いつながりとは。
歳をとることの一側面として、子どもに返ること。
ゆっくりと進化する“老い”と“死”についての思い。






