対する男性は、更年期以降、体内で女性ホルモンの比率が増していくという理屈だ。
だからか。歳を取っておばあさんのようになる男性をときどき見かける。顔に丸みが出て、穏やか。戦う気力がなさそう。反対に、「どうして女は歳を取ると強くなるんだろう」と嘆く男性の声を聞くことが増えた。
その問いに対し、
恥じらいがなくなって、殿方に可愛らしい女性と思われたい欲求も必要も皆無となり、世間に対しても怖いことがなくなるからじゃありませんか?」
そう答えていたけれど、そうか、そもそも生理学上の理由があったということか。男性ホルモンが優位になり、闘争本能が増し、活力も旺盛になる。
もともと女性のほうがお喋りは得意である。その特性は女性ホルモンが減っても変わることはない。若い頃以上に黙っていることができず、しかもその声は年齢とともに大きく低くなる。ところが男性は仕事からリタイアして、大声を出す機会がめっきり減り、他人と戦う場面もない。となると声は枯れ、どんどんおとなしくなっていく。面白いね。
でも、女性は必ずしも男性化したいわけではないだろう。心の片隅に、「可愛い」「きれい」と言われたい欲求を残している。時と場合により、あるいは相手により。現に、そういう言葉を投げかけられた途端、「やだ、うっそー」と照れて、相手の身体を叩いたりはするが、急にしおらしくなるというものだ。ところが滅多にそういうチャンスは訪れない。となると、開き直る。どうせ女と認められていないなら、言わせてもらいましょう。ぞんぶんに爆発いたしましょう。これがまさに、女の中に眠っていた男性ホルモン出動のサイレンが鳴る瞬間かもしれない。
さてしかし、身体的な女性らしさを失った暁に、ならば残る人生(これがけっこうありそうなのね)をどう過ごせばいいというのか。ひたすら男性的に突き進んでいくという手もあるだろう。でもときどき、まだ女性ホルモンがたっぷり残っているのではないかと見紛うほどのたおやかなおばあちゃまをお見かけする。優しくて、しおらしくて、恥じらいに満ちている。なぜあれほどにしなやかに歳を重ねておられるのだろうか。
