伊藤 柳澤伯夫さん(自民党、当時厚生労働大臣)の「産む機械」、大西英男さん(自民党)の「巫女さんのくせに」、加藤寛治さん(自民党)の「未婚女性は国のお荷物」ほか、政治家の女性蔑視発言は枚挙にいとまがありません。

安藤 たくさんありましたね。

伊藤 背景にそういう気持ちがあるから利用するのでしょう。女性と男性が対等だと思っていたら、利用という発想にはならないはずですから。

安藤 この問題は古い政治的言説にずっと支配されていて、とても根深い。女は子どもを産んで一人前。母性を土台に発言することは許されるけれど、独身女性が男性に伍して発言すると大きな抵抗にあう。母はいいが女はダメ。そこから脱皮して、人物本位、能力本位で見てほしい。

伊藤 女性といえば都知事選での小池百合子さんも印象的でした。女性知事に対する期待があれだけ盛り上がっていたのに、その後の衆院選での「(民進党出身の議員の一部を)排除します」の一言で状況が一変した。

安藤 小池さんも小泉さんと似ています。抵抗勢力を作り、「古いおじさん政治家」対「女性」という対立構図で人々を熱狂させた。それでせっかく得た都知事という地位を、もう少し大事にしていただきたかったという思いはあります。そこにみんな夢をかけたわけですから。

伊藤 同感です。