「結婚する意味ってあるのかな?」

そういえば、 “亭主”という生き物も、新たに私の人生に加わりました。人間はおとなしいタイプを選んだので、手がかかりません(笑)。今回本になった日記は結婚後の日々も含むので、「結婚してみることにした。」とタイトルをつけ、漫画家である夫の清野(とおる)さんに帯のイラストもお願いしました。

19年の初めに、「結婚しようか」という話が出たのですが、そもそも私は子どもがほしいとか安定した暮らしがしたいという願望が薄かったので、「する意味ってあるのかな?」と言ったんです。そうしたら、「今、一緒にいて楽しいから、これを維持するために結婚しよう」と言われて。楽しいことや心地よいことは長続きしにくいから、半同棲のままつきあっているよりも、「結婚して家族になったほうが、現状を維持するための強い土台になる」ということで。

私は、「結婚しても“好き”が持続するわけじゃないよ」とも言いましたが、夫婦となり社会的なお墨付きを得ることも、経験するならこのタイミングだなと考えて、「いい夫婦の日」に婚姻届を出しました。

今は一番心地のいい生活スタイルを模索しているところ。目下、清野さんは週の半分を私の家で一緒に過ごし、残りはそれまで彼が住んでいた東京・北区の仕事場で、集中して漫画を描くという生活です。

壇蜜さんの新著『三十路女は分が悪い』(中央公論新社)

彼は性格的にとても落ち着いていて、些細なことで騒ぎ立てない人なので、安心して一緒にいられます。その一方で、漫画家という職業柄、やはり繊細なところもありますね。そこは心配なんですが、おせっかいは焼かずにおこうと。

仕事場にこもっていると、「食事を作りに行こうか?」と、どうしても言いたくなりますが、「気にしなくていい」と言われているので、おとなしく自分の家で待っているようにしています。

どちらかと言えば、私は弱っている男性が好きなので、締め切り明けの清野さんは適度に弱っていてちょうどいい(笑)。「俺についてこい!」というタイプだと振り回されてしまうので、ほど良い距離感を保ちながら、常に淡々と自分の仕事をこなしてくれるところもありがたいですね。