「(眼が)見えるんです!先生」――そして次の100年へ

池松:若い世代の方にメッセージをお願いします。

上條:医療ってそんなに甘くないんですよ。
「私、失敗しないので」ってドラマがありますよね。あれは番組の中の世界であって、現場ではありえません。かっこいい部分だけではないのです。本当はもっと泥臭いんです。
私は眼科医として15年働きましたが、白内障の手術をした翌日に、眼帯を外して患者さんが言うのです。
「見えるんです!先生」と。

患者さんに「ありがとう」と言われるのが本当に嬉しいですね。医者冥利に尽きるとはこのことだと思います。

人に喜んでもらえることが嬉しいと感じられる人には、ぜひ我が校へ来てほしいと思います。医療とはそういう職業だと思います。

池松:読者に勇気が出る言葉やエピソードがあればお伺いできますか?

上條:実は先日、東京マラソンを走ったんです。

池松:ええっ!?

上條:10数年前に走ったことがあるのですが、すごく楽しかったからずっと毎年応募はしてたのです。もちろん当選することもありませんでした。そうしたら、10数年ぶりに抽選に当たったのです。
しかし全然走ってませんし、犬の散歩くらいしかしてなかったのですが、やはり挑戦してみようと思い、4ヵ月くらい前から週に1回か2回ちょっとずつ走って練習しました。なんとか完走できました。

池松:凄いですね。翌日は大丈夫でしたか?
上條:その翌日に、母の誕生日会があったのですが、車椅子を押していて自分が車椅子に乗りたいと思いました。もう情けないくらい足がヨロヨロでしたが、やはり東京マラソンに出た充実感はありました。

池松:もうすぐ創立100周年ということで、一番伝えたいことは?

上條:100周年は、大きな節目だと思うのですが、ここで終わりではありません。ですから「ここからまたスタート」という気持ちになれたらよいと思います。

池松:自分の人生を振り返ったらどう思います?こんな人生になると思っていました?

上條:全然思ってなかったですね。私立の女子校から上がって、一番先に結婚してしまうと思っていたのに、なぜかその時の道をポンポンと選んできちゃった感じです。全然こんな人生になるとは予想もしていなかったですね。

池松:なるほど。やはり人生を振り返ると、お母様の影響が大きかったのでしょうか?

上條:父の背中を見て、母に押されたって感じでしょうか。

池松:毎日の習慣で気をつけていることはありますか?

上條:なるべく「笑う」ようにしてます。
楽しくやらないと長続きしないし、人生も楽しくないですよね。毎日楽しいことを見つけて笑うようにしています。