「小学1年生と一緒ですよ」――新しい病院での気づき

池松:江東豊洲病院の副院長時代のことをお伺いしたいのですが。

上條:人生のうちで、新しい病院の建て替えに巡り会えることは、なかなかありません。開設準備期から参加できたので、すごく勉強になりました。

池松:経営の視点で「これは知らなかった」というようなことはありましたか?

上條:「そんな所をみんな気にするの?」というのがありました。例えば、自分の机やロッカーなどは、限られたスペースなので共有をお願いしたのですが、皆さんは個人ごとのスペースを主張したのです。当初は「なんで?」と思ったのです。そしたら、「上條先生、小学1年生と一緒ですよ」と言われまして。「新しいものを作る時には、新しい机があって……というのは、気持ちの問題だから大事なことなんです」と説明されたのです。そこから「なるほど」と、気持ちが理解できました。1人1人の職員にとって、こういうことは大事なのだと。視点を変えて考えることの大事さの勉強になりました。

池松:富士吉田や鷺沼など、キャンパスが多いと大変ではないですか?

上條:なかでも富士吉田は、距離的に離れているので一番大変です。いまの時代に大学1年生で寮に入るというのは、抵抗があると思うのです。隣の子にもスマホで連絡するような時代ですから。それがうちの大学を選ぶのにハードルになってるところはあるかもしれないんですが、卒業生に聞くと、「めっちゃ楽しかった!」って言っています。都会じゃないですから、遊ぶところも限られてますし、みんなで24時間一緒にいるわけなので、すごく濃密です。そこで友情も芽生えるでしょう。卒業式の日に、「何が一番楽しかった?」って聞いたら、みんな「富士吉田」って言います。