子どもが考える最善が、親にとっての最善とは限らない

断捨離をしていると、本当に大切なものが見えてきます。他人から見たら何でもないものでも、自分にとって思い入れがあるものは、どうしても捨てられません。たとえば仕事部屋の本棚。そこに収めてある本はこの先も手元に置くつもりです。

そしてすべての家具のなかで一番愛しているのが、25年前にアンティークショップで購入した、イギリス製の革張りのキャビネット。

小さな引き出しのそれぞれにアルファベットが書かれていて、とってもお洒落で一目惚れしました。当時で45万円というお値段だったので、買う前に夫に電話でお伺いをたてた思い出の品でもあります(笑)。これは思い切って買って本当に良かった。今も大切に使っていますし、これだけは最後まで手放すつもりはありません。

家具類はなるべく捨てず、そして新しいものも買わずに、3軒の家に振り分けます。新たにプラスするのは自宅の手すりくらいです。足腰が衰えたときに備えて、古くなった水回りと一緒にリフォームしようと考えています。息子の友人の建築家に見てもらい、どこをどう直すか、意見を聞きながら進める予定です。

群馬の実家は、母が東京に出てきた後も残しておくつもりでいます。不動産はすっかりお荷物扱いされる時代になりましたが、私にとって実家は懐かしさの象徴。維持する手間はかかっても、たまに訪ねるとホッとします。

何より、実家を壊してしまうと母が退路を断たれたような気になるのでは、という心配もあって。まだ群馬にもお友だちがいますし、たまには馴染んだ空間に身を置きたい気持ちもわかりますから。実際、母の知り合いで、家を処分して娘さん宅に身を寄せたものの、その後うつっぽくなってしまった方がいるそうです。

また別の方は、親を喜ばせようと自宅を二世帯住宅に建て替えたところ、「私は施設に入って気楽に過ごしたかったのに。本人に確認もせず大金を使って!」と大喧嘩になったとか。

子どもたちが考える最善が、親にとっての最善であるとは限りません。どういう結論を出すにしても、お互いに納得できるまで話し合うことが大切なのだと思います。
 

●中山さん流! チェックリスト活用術

あれこれすることがありすぎて、頭がパンクしそう……となる前に、とりあえず週単位ですべきことを書き出してみます。すると、書くだけでだいぶスッキリ!
□の中にチェック(レ印)を入れる喜びのために(笑)、大断捨離も続けられるような気がします。