本当は「使い切る快感」が好きなのだけれど……

母は今、来年3月から始まる東京での新生活を、とても楽しみにしています。父が亡くなって大きな家に一人で住んでいたので、こぢんまりしたマンション暮らしにワクワクしているんですって(笑)。愛用のレトロな足踏みミシンを持ってきて、孫娘に裁縫を教えたいと張り切っています。

世代の違う3人が、3つの家で暮らすことになりますが、同居ではなく“スープの冷めない距離”というのがいいと思っています。

3軒のエリアの中には、コンビニ、かかりつけのクリニック、そして父のお墓があるためとても便利。母はスマホを使いこなすので、夜でも朝でもSNSで気軽に連絡が取り合えます。東京に移ってきたら「今いる? おかず作ったから持って行くね」なんて、これまで以上に頻繁にやりとりすることになるのでしょうね。

今回の決断の前に、私も母も、親子で同居した人にそれぞれ感想を聞いてみたのですが、皆さん、1週間や2週間の滞在なら何の問題もない、と。でも「何年も生活するとなると難しい」と口々におっしゃる。家族とはいえ各自のペースがあるので、状況が許すならば、別々の家に住むほうがメリットが大きいと思います。

私自身、夫とは夕飯までは一緒に過ごすものの、ご飯を食べた後は完全に別行動。現時点では1階に夫の部屋があり、2階を私が使っていますが、たとえ同じ番組であっても、テレビはそれぞれ自分の部屋で観ています。ちなみに来年からは1階を仕事場にするので、夫の部屋は3階に移動する予定です。

私はこれまで、どちらかというと「捨てない暮らし」を提案してきました。このような事態にならなければ、今も断捨離などしていなかったと思います。捨てるのは、あくまでも最後の手段。使い切るときの快感が大好きなので、できるならばとことんまで使い倒してから、罪悪感なしに捨てたいのです。

部屋を見回したところ、不要なものはもう絶対に使わない錆びたブリキのバケツくらい。これは心置きなく処分できそうです。(笑)