「ホラーの覇者」は「映画の覇者」

「ホラー」というジャンルは、監督や役者の力量を測る恐ろしい計測器だ。観客が「怖い」と思えなかったチープな仕掛けは、「失笑」や「困惑」という残酷な結果を生み出し、作品は「B級ホラー」となる。ホラーの明暗は、薄皮一枚のところで分かれてしまうのだ。

持論だが、ホラーをわがものにした監督は、その後名監督に育つのではないか。『激突!』『ジョーズ』『ポルターガイスト』で注目されたスティーヴン・スピルバーグはやがて、ジョージ・ルーカスとともに『インディ・ジョーンズ/レイダース 失われたアーク《聖櫃》』を作り上げ、世界の名監督に。『エイリアン』をヒットせたリドリー・スコットも、やがて『グラディエーター』などの歴史大作を撮るまでになった。

しかし、「ホラー」は決して文芸作品や歴史大作の下位にあるのではない。『羊たちの沈黙』は、サイコ・ホラーの誰もが認める名作。ヒッチコックも無論、名監督。グロテスクになりがちな殺人や心霊シーンは、一級の映像美や編集センスをもって描かなければ見るに堪えず、作品として成立しないからだ。

そこをうまく処理できる「ホラーの覇者」は、「映画の覇者」たりえるのである。よって、金田一耕助誕生80周年を迎えてのリメークに、日本映画界・ホラー映画の雄たる清水崇を抜擢したのは、きわめてナイスな選択であった。

※以下、作品の核心に触れる内容を含みます。