見たことのない『八つ墓村』が出来上がった

男性俳優の話ばかりしてしまったが、女性俳優陣も豪華である。田治見家の親族、森美也子役には堀田真由。田治見小竹・小梅の双子姉妹を演じたのは高島礼子。

辰弥が淡い好意を寄せた美也子は、あくまでも「怨霊に取りつかれ、辰弥を殺そうとする化け物」で終わってしまった。美也子が死んだのちに八つ墓村を去る辰弥の顔には、美也子の死に対する哀惜も悲しみも宿っていないように見える。わずかに「母の愛」を感じた分、自己肯定感らしき変化がでている程度だろうか。

しかし、それだけ恐ろしい事件を通り過ぎたのに、「何にも染まらず、最初のまま」という奥智哉の透明感に、何か救われた。あの空気感は、出そうとして出るものではない。次にどう化けるか、楽しみな俳優である。

『八つ墓村』場面写真(井川辰弥(奥智哉))
©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA

唯一惜しかったのは田治見小梅と小竹。高島礼子が一人で2役を演じ、画像処理で双子に見せているのだが、高島礼子が美しいのは誰でもわかっていることなので、もう少し特殊メークでしわくちゃにし、恐ろしい老婆感を出してもよかったような気がする。しかし、若めに作ったことで尾上演じる金田一耕助との融和性もよく、他作品の小竹・小梅と違ってややコミカルな印象が新鮮。やはりこれも計算された演出なのだろう。

兎に角「見たことのない『八つ墓村』」が出来上がった!過去のテレビや映画作品もぜひ鑑賞のうえ、映画館に足を運んでいただきたい。

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『八つ墓村』

9月18日(金) 全国ロードショー
配給:松竹/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2026「八つ墓村」製作委員会 ©Yokomizo Seishi/KADOKAWA