ある駆け出しの若い女性ライターさん

最近もザラッとすることがあった。
あるコミュニティのイベントで、文章の書き方を教える機会があった。「私なんかが……?」と思いながらも、せっかく呼んでもらえたのだから少しでも喜んでもらいたいと思い、持っている全ての文章術をスライドにした。最初は12枚のスライドになったが「ちょっと多すぎます」と言われ、なんとか7枚に減らした。

当日は変な汗をたくさんかきながらも、遠くからわざわざ来てくれた人のためにも、精一杯、伝えた。

そこで地方に住むある駆け出しの若い女性ライターさんに出会った。彼女は、私のデビュー作からずっとエッセイを読んでくれていて、私が出版した本と、差し入れに干し芋(私の大好物)も持ってきてくれていた。私と同じように地方で頑張っているところにも好感が持てた。本にはインクを3色も使って全力でサインをした。(普段は黒一色)

彼女のエッセイを添削し「ここをこうしたら良くなるはず」とアドバイスをすると、なんと後日、ちゃんと直したものをDMで送ってきた。できる子だ。

こんな風に慕われるなんて初めて……。気持ちいい!

私はそれからこまめに彼女の発信をチェックするようになり、公開したエッセイには「面白かった!」と逐一コメントまでする始末。

本当にエッセイもどんどんよくなっている。すっかり師匠の気分だ。

「公開する前に先に読んでほしい」と送ってきてくれるたびにアドバイスをして返した。

ああ、もっともっと彼女のエッセイが世間に読まれてほしい。努力が実って欲しい。

ところが彼女のエッセイが、ある日本当に大バズりをした。

最初はいつものように鼻高々で彼女の書いたものをSNSでリツイートし「最高でした」とコメントをしたものの、そのツイートにどんどんいいねがつき、拡散され、noteはあっという間に200スキ(Xでいう”いいね”のようなもの)を超えた。

え……私のエッセイより読まれてるやん。……もう、そんなに読まれなくてよくない?

気づいたら私の人差し指が、リツイートをソッと消していた。