リアルタイムの判断力

私は大学の授業でも「手書きのノートを取りなさい」と指導しています。授業のレジュメは最小限しか配りません。私が口頭で話したことを、学生が自分でノートに取る。耳で聞いて理解し、整理し、自分の言葉で書き留めるという能動的な経験こそが、「その場で理解する力」を育てます。

あとから録音をAIに要約させれば確かに効率的です。しかし、その場でリアルタイムに人の話を理解しようとする能力、「いま、何が一番大切なことか」を判断する能力は、それでは育ちません。

社会に出て最も求められるのは、まさにその「リアルタイムの判断力」だということは、強調してもしすぎることはありません。

古いと思われるかもしれません。しかしいまの時代、ほとんどの人がデジタルに頼っているからこそ、「手書きができる人」「読み書きを丁寧にできる人」は差別化できる。全員が右に向かっているなら、あえて左を向くことで、見えてくるものがあるのです。

※本稿は、『AI時代に自分の頭でどう考える?: 奪われるのは仕事か、思考か』(Gakken)の一部を再編集したものです。

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『AI時代に自分の頭でどう考える?: 奪われるのは仕事か、思考か』(著:池上彰/Gakken)

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