『樹木葬はいいな』とは思うけれど
夫の実家には、「樹木葬にしたい」と話したらこころよく了承してくれた。ただし、埋葬前には菩提寺へ位牌とお骨を持参し、お経をあげてもらうなどして、桂子さんなりに仁義を切ったという。
一昨年、夫が可愛がっていた老犬も亡くなった。夫と愛犬が眠るそばに立つ山桜の生長を見守りながら、昨年桂子さんは夫の七回忌を迎えた。ロータスプロジェクトの運営者や会員ともすっかり仲良くなった。
「『樹木葬はいいな』と思います。でもね、私がそこに入るかどうかは、まだ決めていないの」といたずらっぽく笑う桂子さん。
「もちろん夫のことは大切で、だからこそお墓選びも真剣にやりました。でも、『あんなケンカもした』なんて思い出すと、『一緒に入ってあげない!』とも思うわけです(笑)。そんなものでしょう、夫婦って」
一方、桂子さんの実家の墓については、妹が離婚して実家に戻ったのを機に、「大変だと思ったら、いつでも墓じまいして」と伝えた。先祖の墓にはこだわらない桂子さんの方針を、きょうだいも理解してくれている。
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お墓をどうするか決めるのは、当たり前のことながら、生きている人のすることだ。すでに亡くなった人に忖度して旧来の墓に囚われるよりも、「今を生きている人にとって何がベストなのか」を考えて選び取っていく。そのプロセスが、実は大切なのかもしれない。