「帰ってきた」感覚
――出演が決まったときの感想を教えてください。
素直にうれしかったです。『マッサン』も大阪局で撮影だったので、なじみがあり、「帰ってきた」という感覚でした。12年もたっていると聞いてびっくりしました。石橋静河さんが主演の朝ドラに出られることもうれしかったです。
現場での石橋さんは、撮影前に「珠ちゃん体操」と呼んでいる体操をみんなで一緒にやろうと提案してくれるなど、長い撮影期間をチームで乗り切るということをわかっていて、それを上手に導いてくれる「戦場の女神」みたいな感じです(笑)。
また、珠のように前向きに生きる人物を演じるには、ただ明るいだけではなく、傷つくことを恐れず、それを糧にして前へ進む強さが必要だと思います。
石橋さんにはそうした芯の強さとチャーミングさがあって、それが珠という役やモデルとなった宇野千代さんの魅力とも重なって見えます。前へ進んでいく説得力を持った方だと感じています。
――演じられる岩田幸三はどんな役ですか?
幸三は、よくいる「近所のおじさん」みたいな人です。岩田屋は、野菜や生活必需品まで扱うので、各家庭の様子をなんとなくわかっている。だからこそ、清治さんのような奔放な人物に家族が振り回され、耐え忍んでいる状況を何とか助けたいと思っています。でも、その気持ちは単純な善意だけではなくて、男としては清治さんのような無頼な生き方への嫉妬や羨望もどこかにあるのではないかと思います。
岩田家は“カカア天下”な一面もあり、実はとても現代の家族像に近いと思っています。一方で、梅の気持ちに十分気づけなかったり、珠の旅立ちは応援できても、自分の娘である梅には遠くへ行ってほしくないと思っていたりします。
ただ、そんな古い価値観を抱えながらも家族仲は良く、どこか現代につながる家族の姿がある。だからこそ、岩田家が今の視聴者にも身近で、現代と地続きに感じられるよう心がけています。