あっさり破られた約束
ふと思い出したが、まだ血気盛んで、自分が結婚をして子どもを持つと信じて疑わなかった20代に友人グループでこんな約束をした。
「私たち、将来子どもができてもこのグループの間では、お年玉の交換はやめよう。キリがなくなるし、金額の気にしなくちゃいけないから面倒だよ」
「そうだね、そうしよう」
「別にお年玉なんて、正月一瞬だけのことだもんね」
ところが15年ほど前の正月の集まりで、約束をすっかり忘却したMさんがおもむろにバッグからお年玉袋を取り出して、仲間内の子どもに渡していた。
「これね〜、お正月だから」
「ありがとう」
(は? 前に約束したはずでは……? なにルール破ってんだ、こいつ)
そのMさんが起こした流れで独身、子なし勢がいつの間にかお年玉を用意する風潮に。でも私は約束を頑なに守り、多少子どもからの「くれるんでしょ?」という熱視線を浴びようとも、お年玉を用意することはなかった。なぜ、みんなセレブリティーでもないのにそんなに金を配ろうとするのか。ヒーローになりたいのか、それとも正月のマナーだというのか。もうこれは価値観の違いだとあきらめて、渡したい人は渡せばいいとしている。
