吉永 グループ旅行も楽しいけれど、千恵さんの家がある北海道を訪ねていって、じっくり語り合うのも楽しみのひとつ。
倍賞 2人きりだと語り合うよね。40年くらい前に山田洋次監督の『遙かなる山の呼び声』のロケで北海道に滞在したら、「こんなところで暮らしてみたいな」と思うようになって、50歳で夫と結婚した時にこっちに家を建てたの。年に4ヵ月ほど北海道で過ごしているかな。
吉永 千恵さんが北海道で築いた友人たちが集まる「姉妹会」に、私も入れてもらったのよね。そのメンバーの職種の幅広さにはびっくりしちゃう。
倍賞 私は知り合いが知り合いを呼んで、それが輪になって広がっていくのが好きなのね。最初は地元でジーンズショップを営んでいる人と知り合って、そこから町役場の人や警察官などいろいろな人と出会って、みんな仲良くなったから「姉妹会」って名づけたの。そのうち横浜のゴルフ仲間も加わって(笑)。毎月少しずつお金を積み立てて、ある程度たまったら旅行に行こうっていう集まり。
吉永 コツコツ積み立てって、国民的な大女優とは思えないよ。垣根を作らないし、本当に稀有な人だと思う。
倍賞 人間関係には、ある程度垣根があってもいいと思えるの。垣根なし、なんてことはありえない。いつでも乗り越えられる垣根があって、それを気がねなくお互いがポンと飛び越えられる関係かどうかだと思う。
違和感を抱いたらそろ~っと離れる
吉永 友達との結びつきって、人生のステージごとにうつろうものだと思うの。中学生や高校生の頃に「一生仲良くしようね」なんて言い合っていても、結局は途切れることが多いでしょ。子どもの成長とともに、ママ友とのつきあいもなんとなく疎遠になるし。それを寂しいという人もいるけれど、私は自然なことだと思う。
倍賞 同じ釜の飯を食った仲間は、何年かぶりに会っても一瞬で昔に戻るけど、時間とともに離れてしまう人もいる。それは、それぞれの生活があるなかで、ものの見方がだんだん変わっていってしまうからかな。
吉永 そうだね。一時期親しくしていても、「あれ、なんか違うな」と感じて、距離を取りたくなる相手もいるし。だからといって、わざわざ「もう会うのはやめましょう」とか言う必要はない。こちらが楽しくないと思っている時は、相手も同じ気持ちのはずだから。
倍賞 そう思う。