音が食べ物の味わいを変えた

そこで2人はボランティア200人を集め、1人ずつ防音室でプリングルズのポテチを食べてもらった。プリングルズを選んだ理由は、ポテチ1枚1枚が均一に作られていて、公正な比較がしやすいからだ。また、食べる時は前歯だけでかじってもらい、噛み方によるばらつきが生まれないように配慮した。

ボランティアには防音室でマイクと向かい合わせになり、ヘッドフォンを着けてもらった。マイクはボランティアがポテチをかじった時の音を拾っており、ヘッドフォンからはマイクが拾った音を流した。

『ヘンな科学:“イグノーベル賞”研究42講』(著:五十嵐杏南/三笠書房)

つまり、自分がポテチをかじった時の音が、ヘッドフォンを経由して聞こえる仕組みになっている。その際、ボランティアには知らせずに、ヘッドフォンに流れる音を研究者たちがコンピューターで操作し、音を大きめにしたり、高音域の音(2.20キロヘルツ)を強めに出したりした。

こうしてポテチの新鮮さとパリパリ度を評価してもらったところ、同じポテチでも音量を大きくしたり高音域を強く出したりした時のほうが、15%程度噛みごたえが強く、新鮮に感じられることが分かった。

音が食べ物の味わいを変えた、というわけだ。

リンゴ、セロリ、ニンジン、クラッカーなど、カリカリ、コリコリした食べ物なら同様の効果が得られるという。また、別の研究者たちが噛む音をガラスが砕ける音に差し替えたところ、被験者の顎が固まってしまった、なんてこともあったそう。