133の国と地域を旅して、625ヵ所もの世界遺産を訪れている写真家・富井義夫さん。40年以上にわたって世界中を巡ってきた富井さんによる、『婦人公論』での新連載「世界遺産を旅する」。第18回は、「メテオラの修道院群」をご紹介します
戦火を逃れた修道士たちが移り住み
ギリシャ共和国
ギリシャ中部のテッサリア地方には、高さ20〜600mにも及ぶ巨大な岩山が連なる、幻想的な景観が広がっています。その岩の頂に築かれているのが、メテオラの修道院群です。ここでは今もギリシャ正教の修道士たちが、世俗から離れ、祈りを捧げています。
始まりは中世初期。神との交感を求める人々が、この険しい岩場に身を置いたことに遡ります。長い年月をかけて川の水が谷を削り、硬い部分だけが残って誕生した岩山。この景観を神が創った地と考えたためか、厳しい環境が修行に適していると考えたためか、何人もの修道士が岩の裂け目や洞窟に小さな庵を結び、瞑想を続けました。
14世紀頃、東ヨーロッパの情勢が不安定になると、戦火を逃れた修道士たちは、さらに安全な岩の頂へと移り住みます。やがて、15〜16世紀にかけて24もの修道院が築かれ、メテオラは一大聖地へと発展していったのです
