トラブルの原因は冷えと自律神経の乱れ
夏にこうした胃腸トラブルが多く起こる原因は、主に二つあると板橋先生は言います。
「一つは、冷たい食べ物、飲み物の摂りすぎや、冷房の効いた部屋に長時間いるなどで体が冷え、全身の血行が悪くなること。血流が滞ると胃腸の働きが鈍くなってしまいます」
もう一つは、自律神経の乱れ。自律神経は、臓器を動かしたり血流をコントロールしたりするほか、体温調節も行っています。
「気温が高いとき、自律神経は血流や発汗を促して放熱し、体温が上がりすぎないように調節しているのです。逆に、気温が低いときは体の熱が外に逃げないよう、血管を縮めて血流を抑えます。日本の夏は、屋外と冷房の効いた室内の温度差が大きいため、1日に何度も体温調整を行うことになり、自律神経のバランスが乱れてしまうのです」
ほかに、自律神経を乱す大きな原因が、ストレス。
「夏場は湿度による不快感や、就寝時の寝苦しさからくる睡眠不足など、肉体的・精神的にかなり負荷がかかります。さらに今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、予防対策疲れや感染への不安など、ストレスを抱えている人も少なくないでしょう。そうしたストレスによって自律神経のバランスが乱れると、血管が収縮して胃腸の血流が滞り、働きが低下してしまうのです」
消化機能は、加齢によっても衰えてしまうもの。胃腸に負担がかかりやすい夏は特に、若い頃より意識してお腹をいたわる必要があります。
「冷たい食べ物や飲み物を控えるとともに、体を中から温める食べ物を摂ってお腹を冷やさないようにしましょう。また、腸を整える食品を積極的に食べたり、少しでもストレスを減らすなど、生活習慣を見直すことも大切です」
それらを心がけることによって、「なんとなく調子が悪い」程度の不調は治ることが少なくないそう。
「それでも改善しない場合は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気が隠れていることも。50代以降はがんのリスクも高まるので、病院で検査を受けることをおすすめします」
・食欲がわかない
・生活のリズムが不規則
・ぐっすり眠れることが少ない
・運動をする習慣がない
・ストレスを感じることが多い
・冷たい飲料を毎日飲んでいる
・脂っこい物や甘い物を好んで食べる
・冷房の効いた室内にいることが多い
1つでも当てはまるようなら、胃腸バテの可能性あり。食事や生活習慣を改善して、お腹をいたわりましょう