《不健康な地域》を日本一の長寿県に

新型コロナとの付き合いはまだまだ続くでしょう。自粛は解除になり、外出はできるようになっても、「三密は避ける」「ソーシャル・ディスタンス」などなど、いろいろな面での制約がある。感染の第二波、第三波への対策を取りながら、この1~2年をどう乗り切るかが、5年後、10年後、20年後のあなたの健康状態を左右するということを肝に銘じてください。

脅かすわけではありませんが、新型コロナに感染しなかったとしても、メタボから脳卒中になって要介護、あるいは寝たきりに──今回のコロナ禍で、そんなことが起きるのを僕は恐れるのです。

そうして多くの人たちがどっと介護保険を使うようになると、必要な人が必要な介護サービスを受けにくくなり、《介護崩壊》につながります。ですからみなさんには、病気で入院や治療が必要となる日をできるだけ先送りするために、健康についての意識を変え、毎日の習慣を見直していただきたいのです。

基本となる三本柱は「食事」「運動」「生活習慣」──。僕が日頃、実践していることをご紹介しますが、その前に僕が住む長野県についてお話ししましょう。

長野県はもともと脳卒中が多く、《不健康な地域》でした。後遺症でまひが残ったり、認知症を発症したりして、要介護状態の人もたくさんいたのです。46年前、この地に赴任した僕は、地域のみなさんを巻き込みながら健康づくり運動を進めました。その結果、今や長野県は日本トップクラスの長寿県です。一人ひとりが意識を変えれば、必ず変われるということが証明されました。この時の健康づくりのノウハウは、今も僕自身の生活のベースとなっています。

まず「食事」ですが、脳卒中予防のキーワードは《減塩》と《野菜摂取》。当然、高血圧を引き起こす塩分の過剰摂取は控えなくてはなりません。また、野菜に多く含まれるカリウムにはナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きがあり、減塩と同じ効果が。

厚生労働省は1日に350gの野菜の摂取をすすめています。長野県の健康づくりも、野菜をたっぷり入れた《具だくさん味噌汁》を推奨し、野菜摂取量を上げたことで成功しました。

僕は毎朝、野菜ジュースを作って飲むのを習慣にしています。その日冷蔵庫にある野菜をミキサーに入れ、それに牛乳かヨーグルト、さらに血液をサラサラにしてくれるえごま油を小さじ1杯ほど加えて混ぜます。

朝のジュースで目標の6~7割は摂取できるので、昼にサラダ、夜に野菜の煮物をいただけば、1日の必要野菜量は達成できるのです。ちなみに調味料は、わが家ではナト・カリ調味料(ナトリウム/カリウム比が低い塩、醤油、味噌など)を使っています。