「(デビュー当時は)クビになるのが怖いから自分の居場所を確保するのに必死。バラエティ番組では「爪跡」を残すために、先輩タレントに威勢のいい言葉でつっこみました」(撮影:大河内禎)
「食」は不調のきっかけにもなれば、健康を取り戻す力にもなる――。身をもって知った山田まりやさんは、体がその食べ物を欲しているかを考えることは、自分をいかに愛せているかにつながる、と話します(構成=平林理恵 撮影=大河内禎)

仕事中もトイレから出られない

デビューしたのは1996年です。スクール水着しか着たことのなかった15歳の私ですが、いきなりグラビアの仕事から始めることになりました。でも、ふと気づいたら年間200誌の表紙を飾っていて、テレビやラジオのレギュラー番組の仕事が何本も。グラビアの撮影ともなると、サイパンに2ヵ月で5回くらい行くんです。本当に幸運なことなのですが、お休みはほとんどありませんでした。

離婚した母と10歳下の弟を養うために、私は高校を中退して事務所に入れてもらった経緯がありました。クビになるのが怖いから自分の居場所を確保するのに必死。バラエティ番組では「爪跡」を残すために、先輩タレントに威勢のいい言葉でつっこみました。

でもしばらくして、慢性的な体の不調に悩むようになります。食レポの仕事が増えると、まず体重がどんどん増えていきました。旅ロケや温泉ロケでは、食欲と関係なく食べ続けなくてはなりません。ストレスが溜まると、未成年だからアルコールのかわりに甘い物に逃げ、体のだるさ、冷え、肩こりやむくみ、激しい生理痛が続きました。

誰かに悩みを打ち明けたくても、馴れあいにならないように、という事務所の方針で、1年ごとにマネージャーさんが交代するから難しかった。信頼関係を築けるようになる頃、毎回担当者が代わるのはしんどいものです。まあ、そもそもマネージャーさんはみんな男性だから、体について相談することなんてできなかったんですけどね。(笑)

「これは本当におかしいかも」と思ったのは、20歳の頃です。お酒を飲みに行くじゃないですか。そうすると突然気持ちが悪くなるんです。酔いというより、胃と腸がキリキリ痛み出して、トイレに駆け込む。吐き気と便意が同時にやってきて、トイレから30分くらい出られないことが続きました。

仕事中も「ちょっと貧血で」と言って、衣装を汚さないよう気をつけながら、何度もトイレに籠りました。精神的に何かトラブルを抱えてトイレから出てこない、と周囲からは思われていたような気もします。でも万年二日酔いのような気分の悪さで、主な症状は嘔吐、下痢と便秘の繰り返し、頻繁な、激しい腹痛などでした。