子育てを通じて続けられるスタイルに

結婚後、32歳の時に息子を出産して、いまは家族のためにもよりよい食生活を実践しています。基本は玄米菜食の暮らしで、主食は発芽酵素玄米。ただ仕事柄、外食の機会は少なくないので、お肉もお魚も週3日は食べることにしています。目指しているのは、一方に偏りすぎない「ざっくり中庸ライフ」といったところでしょうか。

息子が生まれた時は、「こんなまっさらなきれいな体に不純物は入れたくない!」と思ったけれど、望ましくない食べ物を完全に排除することなんて、現実的に難しいと思うんです。

たとえば、保育園で出されたおやつや、人からいただいたお菓子に「あれはダメ」なんていちいち言うのも、なんだかなあと思う。だから園の先生には「本人にまかせてください」とお願いし、息子には「食べたいかどうかを考えて、いらない時は『いまはお腹いっぱいです』とか『持って帰ってもいいですか』と言ってもいいんだよ」と教えました。

いま、自分の体がその食べ物を欲しているか考える。その癖をつけることは大事です。私は、自分の欲求に目をつむって食べ続けた結果、あんなに長い不調に苦しんだわけですから。考える癖がつけば、自分の体にいま何を入れたらいいのかも、なんとなくわかってくる。これって自分をいかに愛せているかということにもがるような気がしています。

息子を見ていると、すごく自己肯定感が高いんです。一方で、私は酒乱気味の父に終始怯える母を見ながら、気の休まらない家庭で育ったので、大人になってからも無意識にビクビクしている時があります。仕事をしていても、自分は中身がないんじゃないか、と自信を持てないことも多くて。だから息子がちょっと羨ましい。(笑)

でも、たとえば息子が熱を出したら、市販のシートで急速に熱を下げたりはせず、豆腐をガーゼに包んでおでこに貼って熱をとる。焦らず騒がず、病院に行くレベルかどうかを冷静に判断し、ひとまずは玄米を炒って煮出した水分を飲ませる……。こういう対応をしている時、知識を役立てて実践できた自分に、ようやく自信が持てたりするんです。

見直した食生活を、子育てを通じて、続けやすいスタイルに調整していったことで、私は「ほどよく」「ざっくり中庸」な対応ができるようになりました。

動物性の肉を食べすぎたなら、植物性の干し椎茸のスープを飲んで中和すればいい。ロケ弁を食べるなら、家から玄米おにぎりを持って行けばいい。食事は関係性を築く要だから、仕事のおつきあいに制限は設けず、家は粗食にしてバランスをとればいい。行きすぎても戻れる場所さえ知っていれば、ストレスフリーで健康的な日々を送れるような気がしています。