101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『小さなお盆は、自分をもてなす《ひとり膳》になる』

私は日頃、ダイニングテーブルで原稿を書いています。仕事が立て込んでくると、テーブルの上は資料や書きかけの原稿用紙、筆記用具などに占領されます。

食事の時間だからといって、いちいち片づけていると、仕事の気分が途切れてしまいます。かといって、原稿用紙が広がった状態でごはんを食べたのでは、なんとなく気持ちがささくれます。

そんなときに重宝するのが、お盆や折敷(おしき)。仕事の道具はさっと脇に寄せ、作り置きのお惣菜と味噌汁、ごはんをお盆にのせれば、ひとり用の膳のできあがり。気持ちよく食事ができますし、おかずの汁などを原稿用紙にこぼす心配もありません。

最近は以前ほど仕事に追われることはなくなりましたが、ひとりで食事をするときは、「ひとり膳」の習慣を続けています。それだけで、なぜか自分をもてなしているような気分になり、ちょっぴり心地いいものです。
吉沢久子さんの連載「100歳の100の知恵」一覧